ストレージ API を選ぶときの判断軸
オブジェクトストレージの比較では保存容量の単価に目が行きがちだが、実際の請求を左右するのは転送量(エグレス)と操作回数であることが多い。画像や動画のように配信量が保存量を上回るワークロードでは、この構造の違いが決定的になる。
コスト構造の見極め
- 保存中心 — バックアップやアーカイブ。ストレージクラスの使い分けが効く
- 配信中心 — 画像・動画の配信。転送量課金の有無でコストが桁違いになる
- 操作回数が多い — 小さなファイルへの頻繁なアクセス。リクエスト課金が効いてくる
この領域の事故で最も多いのが、バケットやオブジェクトを意図せず公開状態にすることです。「画像が表示されない」という理由で公開ブロックを外す判断が、全データの公開につながります。原因は多くの場合ポリシーか権限か CORS のいずれかです。切り分けてから、必要最小限の範囲で許可してください。
移行しやすさ
S3 互換の API を持つサービスが多く、既存の SDK やツールをエンドポイントの差し替えで試せる。一部のバケットだけ移して効果を実測してから本格移行する、という進め方が取りやすい。ただし互換とはいえ細かな機能(ストレージクラス、細粒度のアクセス制御、ライフサイクル)には差異があるため、実際に使っている機能を洗い出して照合しておきたい。
削除からの復旧手段
誤って削除したオブジェクトは、バージョニングを有効にしていなければ戻せない。重要なデータほど、消えたときにどうするかを先に決めておく。バージョニングと、古いバージョンを自動整理するライフサイクル設定を組み合わせると、安全性とコストを両立できる。